ご訪問ありがとうございます。
    
 歴史に造詣が深い出口治明さんの新著です。
 出口さんはライフネット生命の創立者、というよりも「全世界史講義」など歴史書を多く出している市井の歴史家です。私もその著作の多くを読ませて頂きました。日本の知性、と言ってしまっても過言ではないでしょう。

 その出口さんの最新本、しかも題名が「還暦からの底力」と聞いては読まない訳には行きません。
 講談社現代新書 出口治明著 860円
 出口さんは72歳。日本生命勤務後、60歳でライフネット生命を立ち上げ上場企業にまで育てます。現在は立命館アジア太平洋大学の学長さんです。

 本の主旨は至って明解。「年齢フリーの社会にすべき」で「公的年金に頼るな」。つまり
人間は定年など設けずに働けるだけ働くこと。「働いている間は保険料をを収め、働けなくなったら年金給付を受けるという姿が究極の理想」だとしています。(P24~P25)
 根底には「人生100年時代は働いたほうが人生をエンジョイできる」があります。「好きなことをしてお金を稼ぎ、ご飯を食べていくのが基本です。言い方を変えれば人々が人生100年時代に幸福な生活をおくるために定年を廃止するのです」(P88~P99)

 第一、働くことは健康にも良い、と出口さんは説きます。「働くことは、規則正しい生活に直結します。雪が降ってもあられが降っても職場に行くので毎日1万歩くらいは歩きますし、いろいろな人と会話もします。働けば頭も体も使い、健康寿命を延ばします。もちろん収入も得られます。このように働くことは良いこと尽くめなので、定年を廃止しようというロジックなのです」(P99)

 65歳で引退することを目指している私ですが、不思議と反発する気持ちは起きませんでした。日本を代表するインテリである出口さんの言葉だから、というよりも、これまでの昔風な働き方を否定し、新しい働き方を提案しているからです。
 「高齢者をまだ働かせるのかという批判の背景には、残業必須の長時間労働といった、従来の日本の伝統的な働き方のイメージが残っているからかもしれません。政府も働き方改革によって長時間労働の抑制と、それぞれの人の意向に応じた働き方ができるような方向に舵を切っています。その時点の意欲、体力、能力に応じて自由に働ける社会、働き方を自由に設計できる社会をつくっていくことが理想です」(P99~P100)
 なるほどなあ、と思ってしまいました。
 
 これまでの働き方は高度成長の時の働き方。「工場モデルのマネジメントは画一的な仕事が大半なので、黙って俺についてこいで大丈夫でした。工場は24時間操業が理想ですから、筋力の強い男性の長時間労働が適していました。だから、男は仕事、女は家庭という性分業を推進したのです。その背景には、明治維新時に導入した科学に基づく家父長制がありました」(P105~P106)
 これまでの働き方は前近代的という訳です。製造業の親会社に37年在籍、子会社へ転籍して3年になる私は、この記述が痛いほど沁みます。実にその通り。

 しかし、だからと言ってそうだ65歳以上も元気なうちは働かねば、と決意を翻意するまでには至りませんでした。理解はした。頭では充分分かった。しかし、NOという気持ちをYESに反転するまではならなかった、というところです。
 尊敬する出口さんですが、はいそうですか、そうします、とまでにはなりませんでした。

 しかし良い本です。老後が気になる方はお読みになることをお薦めします。絶対に読んだ方が良い、と勧められている本を一冊も読んでいない自分がいて、それもビックリした次第です。

         
スクリーンショット (647)

  それでは、また明日!!
                                                                          
   
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
ブログランキングに参加しています。お役にたちましたら、クリックをお願い致します。
今後の励みと致します。


にほんブログ村 株ブログ インデックス投資へ
にほんブログ村


投資信託ランキング


スポンサードリンク